素材のご説明

 
 幻の花「紫草」(むらさき)
 
かつては蒲生野一帯に自生していたムラサキの花。草丈は30〜60センチ、初夏から夏にかけて茎の先端に直径4ミリ程度の可憐な白い花が咲きます。根は紫色で、染料の材料(紫根染め)に用いた貴重な染料植物であり、紫草という名もこのことに由来しています。また、切り傷、火傷、解熱等の漢方薬としても利用され、美白効果にも優れています。
 
 歌の大意
 


「紫草の生えている野原を行ったり来たりしながら、あなたが袖を振っているのを野守が見ているではありませんか」
と婉曲にたしなめる額田王に、「紫草のように美しいあなたが憎かったら、人妻なのにどうして恋しようか」と答える大海人。

二人はかつての恋人同士。二人の間には十市皇女(とおちのひめみこ)が生まれています。しかし、その後、額田王は大海人の兄である天智に召され、今は後宮にある、つまり「人妻」です。二人の秘めた恋心を大胆に告白した?かのようなこの歌は、額田王をめぐって大海人と天智天皇との確執を招き、壬申の乱の遠因になった、という説もあります。
額田王 上村松篁画
 
 蒲生野の紫草
 

蒲生野の紫草。大津宮の時代、蒲生野(八日市市船岡山一帯)は紫草の御料地(標野)とされ天智七年(六六八年)五月五日、この地で大遊猟(薬草狩)がおこなわれたとされています。-「日本書紀」-

蒲生野での額田王と大海人皇子の相聞歌の世界を、 上村松篁はこのように美しく描いた(松伯美術館蔵)

上村松篁画(松伯美術館蔵)
 
 
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